加奈はそう言って、ひざを抱えた。 「加奈、私どうしよう?」 「え、何が?」 そう返事しながらもこちらを見ようとしない加奈はちゃんと何のことか分かっている。 「お父さん、叫んでたの。彼を、誘拐犯で訴えるって。」 「南の親父さんならやりかねないね。」 加奈はそう返事する。 しばらくシーンとした空気が流れて。 それは加奈のお母さんがドアを開ける音に壊された。