遥に抱えられるように支えてもらい台所まで来ると、温かなクラムチャウダーがパンと共に用意されていた

結美がそっと出ていったが、食べ物しか見えていない小夜は気づかなかった

「さあ!どうぞ!
たくさんあるからね」

スプーンを遥から受け取り、ふわりと湯気の昇るスープを口にした

…うわぁ~遥さんの料理だ…

昨日から何も食べていない小夜の体の隅々に、たった一口のスープが行き渡るのを感じた

目を閉じても黒い闇は襲ってこない

その変わりに、温かな遥の料理で柔らかく包まれる

…もっと遥さんを感じていたい…
包まれていたい…

その強い思いで、目の前に置かれたスープを口に運んだ