アイ・ラブ・おデブ【完結】

通夜には地域の人達が顔を出し、かなりの人数が集まっていた

「憎まれ婆さんなのに…」

と圭輔は悪口を呟きながらも両親や大輔達と共に、弔問客の対応をしている

小夜は手伝わなくちゃと思いながらも、体も心も動かず二階の部屋に籠っていた

電気もつけずに膝を抱えて踞り、引きずり込まれそうな闇と戦っている

下の階からは酔った親戚の声が聞こえてくるが、今の小夜の耳には届かなかった

どのくらいそうしていたのか…

「小夜も風呂に入ってきな…
もうみんな帰ったから下に来て飯食いな」

と大輔が優しい声で誘ってくれた

久しぶりの実家の広い風呂で手足を伸ばし、ミカンの皮が浮かぶ様子を思い出そうとした

けれども懐かしい映像は浮かばず、黒い闇ばかりが追いかけてくる