「なんだい?
私に文句でもあるのかい?」

さらに目を吊り上げ、小夜に詰め寄る

「ババ様…」

やっと出た声は思ったよりもかすれていて、口の中が乾ききっているの感じた

…ここで引き下がったら今までと同じ…
あたしは変わるんだ!

そう自分に言い聞かせて、心の奥から沸き上がる恐怖を押さえ込んだ

「ババ様…
あたしは桜井さんと結婚しません
結婚できません!
あちらのお父様にもそう話しました
桜井さんの事を好きにはなれないし…結婚して家庭を作るなんてできません
あの人が幸せにしなくちゃいけないのはあたしじゃないから…
ババ様に背くことになろうとこの事だけは譲れません
初めからお断りするべきでした
申し訳ありません」

一息に思いをぶつけ、畳に額を擦り付けて謝った