相変わらず部活に行くが、筆を持つ気分にはなれずただ墨を摺るだけだった

目を閉じて墨を動かしていると、段々と濃くなっていく薫りが荒れ狂う小夜の心を静めてくれる

そのまま書いてしまおうとするが、どうしても真っ白な半紙に筆を下ろせなかった

…あぁ…今日も書けない
どうしてなのかはよく分かっている…
幸絵さんの赤ちゃんがもうすぐ…来月には生まれる…
やっぱりあたしはこの結婚はできないよ
しちゃいけないよ…
たとえ桜井さんが幸絵さんと結婚しなかったとしても…
もう一度東京に行かなくちゃ駄目だ!
桜井さんに会って話さなくちゃ