「相手のことは知っているの?」

ホテルの出口から目を離さずに由美子が聞いた

「父から少しだけ聞いてる…
桜井良孝…32才
職業は弁護士…東京の法律事務所に勤めている
父親はあの桜井良ニだ
在任20年の大物政治家だ
知っているだろ?
良孝はその長男だ
きっと先々は父親の地盤を受け継いで政治家になるんじゃないか?

うちの祖母がこの話を纏めてきた
あっちもなぜか乗り気なんだよ
祖母は旧華族の出だと言っても今じゃ片田舎の隠居の身だ
何の影響力も金も持ってない
それがこんなにもうまく話が進んでいる…」

圭輔は自分の持っているすべての情報をさらけ出した