それからしばらくは、祖母から何か言われることもなく過ぎていた

祖母自身も、珍しく泊まり掛けで出かけたりと忙しそうにしている


由美子との約束の部活見学の日となった

夏の暑さの中、書道部が活動している教室へと向かう

扉の前で大きく息を吸うと中から勢いよく開いた

「やっぱり!小夜だ!
中に入って入って!」

きしめんを食べた時よりも日に焼けた由美子が、小夜の手を取り中へと招き入れる

あの後、駅で別れる時には由美子から

「ねえ私のこと由美子って名前で呼んでよ!
山岡さんなんて固い固い!
私も小夜って呼ぶから…っね!」

と言われるほど打ち解けていた