前を歩く祖母の踵を見つめ、廊下を進む

線香の香りが強くなり、音もなく襖が開けられる

中に入ると無駄のない動きで、床の間を背に祖母が座る

「座りなさい」

顎を僅かに目の前の畳へと差し向け、鋭い目付きで小夜を睨む

小夜が怒られるいつもの流れだ

「なぜここに呼ばれたのか分かるかい?」

「…いいえ…分かりません」

何を答えても祖母の怒りは鎮まる訳はなく、下手なことは言わない方が良い

「本当に…分からないのか?
お前はどこまでこの私を馬鹿にするのか!
どうしていつもお前はそうなんだ!
何とか言いなさい!」

…ええ~…何とかって…
分かんないよ…