すっかり片付けが終わる頃に、頬を腫らした遥とスッキリとした表情のマサが戻ってきた

「裏の片付けは終わったの?
もう帰ろうか…
マサくん!奥で寝てる伊織をお願いね」

すでに戸締まりはしてあるが、マサはもう一度確認して回った

香織は残った料理などの荷物を持って、先に店を出た

小夜は香織の荷物を手伝い、一緒に外へ出る

「香織さんたちは互いのことをよく分かっているのね…
全てを言わなくても理解していて…
夫婦って凄いな…
あたしもそうなれるの…かな…」

少し離れた駐車場へと歩く道すがら、訊ねてみた

「ありゃ…そんな風に見える?
う~ん…私たちだって互いが分からなくてぶつかることもしょっちゅうよ~
ただ…一緒に過ごす時間の分だけ、分かることもあるみたい
小夜さんもそうなれると思うわ
あんなに惚れられて…
まあ…マサくんの方が良い男だけどね~」

最後の方は歌うように陽気に言った

…そうか…
一緒にいることで徐々に夫婦になっていくんだ…

香織の運転で店の前に戻り、寝ている伊織を抱いたマサが乗り込んだ

小夜は遥の元へと降り立ち、走り出す車を並んで見送った