皿の上の料理は大分少なくなり、きらり以外のフォークも止まってしまった

伊織や凛は目を擦り始め、楽しかった宴を終えることにした

サプライズでここに来た小夜は、名残惜しそうに皆を見送った

今夜は、大好きな友人達から掛け替えのない大切な物をその胸の中にいくつも受け取った

香織と二人で皿を拭いていると、裏口の外から男二人の声が聞こえた

ドガッ…

「これは小夜さんの流した涙の分だ!
本当にお前ってヤツは頑固だよな…
あれだけ言ったのに…」

マサの怒りの声と遥が殴られた音がした

…ハル!

止めに入ろうと小夜は裏口の扉に近づこうとしたが、香織に制された

「男って…あんなことで仲直りするんだよね~
でも、その痛い儀式が終われば、前よりも絆が固くなるんだから…
ある意味単純で…羨ましいわね」

呆れたような…眩しいような…そんな表情で扉の向こうに想いを馳せてそう言った

…そうなのか…
殴られても仲良くなれるんだ…

香織の言葉に納得したが、二人の姿を見るまでは、やはり心配だった

その後は穏やかに話しているようで、声は聞こえなくなった