胡座の足の間に座らされ、後ろから頭をわしゃわしゃと拭かれた

まるで猫にでもなったかのような気持ち良さに、小夜の緊張も解けていく

「あのね…
あたし…本当は弱虫で、意気地なしで…
ハルのこと…何度も諦めてしまいそうになったの
そう…一人だったら…諦めていたかも…」

背を向けたまま、それまで誰にも吐露したことのない、気持ちを口にした

「でもね…由美子さんが一緒にいて、渇を入れてくれたり…
慎太郎さんがさりげない優しさで包んでくれたり…
リームさんが美味しいもの食べさせてくれたり…
柏木が毎日お昼を一緒に過ごしてくれたり…
マサさんと香織さん、コウさんが笑顔で店に迎えてくれたり…
いろんな人たちに沢山支えてもらったの
だから…ハルをずっと信じていられた
いつか、笑って会える時が来るのを信じていたの」

髪を拭く手が止まり、小夜は振り返った

「今度はあたしが話すね」

もう涙は乾き、遥に笑顔を向けることができた