「あなたたちは…いったい…」

やっと出た遥の言葉は、背後から聞こえてきた声に掻き消された

「慎太郎さん…由美子さんはいましたか?」

扉から次に現れたのは、一番会いたいのに会えない人…小夜だった

…さあや!
ここに来ては駄目だ
この二人は…二人は…

小夜を二人から遠ざけようと慎太郎の後ろへ動こうとした

「ちょっと待ちなよ!
そう簡単に小夜に触れるんじゃないよ」

目の前の女が思いきり体当たりをしてきた

「由美子さん!なに?
あっ!!……………ハル…
え?どうして…ここに?
え?なに?…えっ?え?」

なぜ遥がここにいるのか理解できず、また、この張り詰めた状況も飲み込めなかった

…由美子…さん?
この女…さあやの知り合い…
どこかでこの名前…

小夜の口から出た目の前の乱暴な女の名前に聞き覚えがあった

…確か…会わせたい…友達だったか?
それとも…赤ん坊が生まれた…だったか?
誰だったっけ?

温室の壁に押されながら、遥もまたこの飲み込めぬ展開に固まっていた