…とても綺麗だったな…
あんな風にお洒落をして…華やかな世界にいるのか…
元気そうで良かった…
あの男…甲斐なんとかとかいったか?
さあやの腰に手を添えたりして…
付き合ってるのか?
どんなヤツだ?
もう…本当に手の届かぬ人になったんだな…

既にテレビは次の話題に変わっているが、今見た場面が遥には見えていた

…もう、僕のさあやではないんだ
あの男…ちゃんと…幸せにしてくれるのか?

胸の辺りに渦巻く黒いモヤモヤを振り払うように、ギュッと目を閉じて首を横に振った

そして布団を頭まで被り、一日中酷使した体の疲労を感じて眠りを呼ぼうとした

結局、まんじりとせずに夜明けを迎えた

…本当に幸せになれるのなら…
構わないのか?
あんな風にカメラの前に連れ出すような…
これは君が望む世界?選んだ相手?

自分から手を離した愛しい人を思い、遠くの空が穏やかに晴れていることを願った

決して嵐などにならぬように…