今日の目的地も定まり、再び出発した

夜になり、汗を流した後は俊樹に案内され、ジンギスカンを堪能した

小さな民宿の部屋には布団が敷かれ、ゴロゴロしながら年代物のテレビを何となく眺めていた

隣に横たわる俊樹は、東京の彼女にでもメールをしているのか、自分の手元に集中している

こんな風にいつもの夜が過ぎていく…筈だった

瞼が重たくなり、テレビを消そうと近づき、その画面に写る映像に釘付けになった

…っ!!さあや!!

「昨夜**ホテルで行われた香林舎のパーティで、×○賞を受賞した甲斐 慎太郎さんがインタビューに応じてくださいました
遺言執行人シリーズは今や誰もが知る大ヒットですが、期待される新作を手掛けているそうです
こちらも楽しみですね!」

慎太郎のファンらしいメインキャスターがにこやかにそう話した

「僕もあのシリーズ好きです
なんと言っても、毎回出てくるゲスト俳優が、いいんですよ
こんな人が書いたんだ
ちょっとイメージが違うなぁ」

テレビのスイッチに手を伸ばし固まっている遥の横から、俊樹が覗き込んだ