アイ・ラブ・おデブ【完結】

慎太郎に声をかけようと、その横顔を見上げた

「慎太郎さん…あたしが来るような場所では…」

そう言いかけた小夜の言葉を遮り、二人の後ろから甲高い声がした

「あら~!これはこれは甲斐先生…
パーティでお会いできるなんて珍しい
新作も好調のようですわね!
オ~ホッホッ…」

慎太郎はその声の主を振り返る寸前、小夜の耳のすぐ傍で囁いた

「…何も言わずに笑っていてください」

きつい香水の匂いとたがわぬ派手なメイクをした中年の女性がそこにはいた

「成宮先生…ご無沙汰しております
先生こそ、そのご活躍は俗世を離れている私の耳にも届いています」

これ以上ないくらいの笑顔を振り撒き、目の前のオバサンと話し出した

…成宮先生…って言ってた…
たしか10年ぐらい前に、何とか賞をとった…あの作家かな?
げっ…あの作品って爽やかな感動スポ根ものだったはず…
ちょっとイメージが…

慎太郎に言われた通りに笑顔を張り付けて、作家同士のやり取りを見ていた

互いに誉め合う、上辺だけの会話に顔の筋肉が疲れてきた頃、壇上では司会者が喋りだした