アイ・ラブ・おデブ【完結】

…数年前ならこんな風に思わなかったのかもしれない…
けれども今は違う…
心から愛しいと思える温もりをこの腕の中に一度でも閉じ込めたなら、偽りの関係など体が…心が…拒否をしている
もう一度あの笑顔を見たい…
それが出来るなら…僕は何を犠牲にする?

料理の腕か?
この見た目か?

…フッ…そんなものいつだって投げ出してやる!
この舌が味を感じなくなろうと、この手が包丁を握れなくなろうと…
デブで禿げてるオヤジになろうと構わない…

いっそ、そうなれれば…

中学の頃、痩せた自分に対する周りの女子の態度が急に変わった

それまでは邪魔だとか馬鹿にされることがほとんどだった

しかし、痩せるにつれて恋愛の対象として見られ始めた

そんな周囲の変化についていけなかった

幼い日に、祖母の病室で一緒に遊んだあの子を忘れられなかった

淡い初恋は遥の中でデフォルメされていたのかもしれないが、あの笑顔や困った顔、泣きそうな顔…どれも忘れられない

今はどんな風に成長をしたのかと想像し、煩わしい現実から逃げていた