慎太郎の傍で手紙を読んでいたトニーが何か叫びながらバンッとテーブルを叩いた

「ちょっちょっと!トニー!
テーブル壊れるよ」

由美子がトニーの腕を押さえて止めた

しかし、トニーの興奮は冷めずにヒートアップして大きなジェスチャーを交えて早口で捲し立てている

最後には天を仰ぎ、神に祈りを捧げるような仕草をした

「ねえ…慎ちゃん…
トニーは何て?」

「あぁ…
やっぱり環のせいなのか…
マリーも遥もあの女に狂わされて人生滅茶苦茶だ
偉大な神は誰の味方なんだ…って」

…トニー…そりゃあ怒るよね…
ずっとハルのこと見てきたんだもん
ねえハル…こんなにも沢山の人があなたのことを想ってくれているよ
日本にいるマサさんだって…コウさんだって…お母さんやお祖父ちゃんだって心配しているよ
お願いだからあなたの本当の気持ちを教えて…

小夜はトニーの手を両手で握りその瞳を強い決意で見つめた

「オー!サーヤ…」

その逞しい腕で力強く抱き締め励ましてくれた