アイ・ラブ・おデブ【完結】

二人きりの部屋の中に時計の音が微かに聞こえる

どのくらい遥の返事を待ったのか…これ以上この空気に耐えられなくなった時、遥が口を開いた

「…一緒に…行けない…」

傍にいる小夜でさえ、聞き逃してしまいそうな小さな声だった

「…えっ?ど…どうして?」

顔を上げて遥を見ると無表情でガムテープをきつく握りしめている

「あっちに戻る…
向こうで仕事をするんだ…」

…えっ?あっち?
やっぱり…環さんの所に戻るんだ…
環さんを選んだの?

指先が白く成る程握りしめている遥の手にそっと触れ、大きく息を吸ってから小夜は穏やかに聞いた

「ハルは…環さんを選んだの?
幸せになるのは…環さんの傍なの?
怒らないから…本当の気持ちを教えて?」

無表情だった顔が段々と苦悩の表情に変わり、小夜の手から逃げ出すように立ち上がった

背を向けたまま立ち尽くす遥を見上げ、答えを待っていた