小夜さんは何も言わずに遥を笑顔で待つつもりでいる

その泣きそうな背中を思わず抱き締めたくなるが、それは俺の役割じゃない…

遥…お前が戻るのを皆が待っている

なのに…
この間の電話でふざけたことを言いやがって!
この店を俺に譲るだとぉ!
…そんなもん要らねえよ!
どういうつもりか知らないが…
お前のいない店なんてちっとも面白くねえよ!
コウもすっかり悄気ちまって…それに…店の名前…お前が付けたんだろ!
《petit-nuit》だなんて…
お前しかこの名の店のオーナーは出来ない!
責任を取れよ!

日本に戻らないつもりかもしれないが…そうはさせない!

今度ばかりは俺も収まらない…

香織も気が済むようにやれと言ってくれてる

よし!今夜もネットで調べてやる!
頚を洗って待ってろよ!

皆を苦しめてるヤツめ!!