ホテルから程近い観光客が来ないような小さな店で食事をした

素朴な煮込み料理とチーズと生ハム、パンしか食べるものはない

ワインやカクテルなどのアルコールを楽しむ人で席はほぼ埋まっていた

運良く、帰る客と入れ違いにテーブルにつくことができ小夜はホッとした

今夜は他に行くような元気もないし、実は空腹も感じていない

狭い店内はお酒の入った人達で賑わっていて、二人の気まずい空気をかき消してくれる

他愛ない会話を僅かに交わし、食事を終えてホテルに戻った

「悪いけど…先にシャワーを使うね…」

二人きりの静かな部屋に戻ると遥はシャワールームへと消えた

…ハルもあまり食べていなかったな…
環さんと何があったんだろう…
聞いても大丈夫?
う~ん…なんだか大丈夫じゃない気がする…
このままそっとしておく?
どうしたらいいのか分からない…

ぶつぶつ呟いているとシャワーを終えて、遥が頭を拭きながら出てきた

「じゃ…じゃあ…あたしも…」

着替えを掴み、湿度が高いままのシャワールームに逃げ込んだ

…こんな態度…駄目じゃない…
絶対に怪しい動きしてたよね…