「……あや…さあや…
起きて!さあや…」

息苦しさを覚えて目を開ければ心配そうに覗き込む遥がいた

「大丈夫か?うなされてたよ…
水でも飲むかい?」

そう言って部屋の小さな冷蔵庫に歩きだそうとした

「行かないで…お願い…傍にいて…」

両手で遥の腕を掴み、消え入りそうな声で引き留めた

「ん?さあや?
僕はどこにも行かないよ…
さあやの傍にいるよ…」

目尻に笑い皺を作り、ベッドの端に腰かける

布団で小夜の体を優しく包み、力強く抱き締めた

「怖い夢を見たんだね?
うなされるような…夢を…」

ゆっくりと頷く小夜にも…
心配そうに声をかける遥にも…
どうしていつもの穏やかで幸せな朝を迎えることが出来ないのか分からない

ただ…互いの温もりを離してはいけないという想いに突き動かされていた