稲本はグラスを静かに置き、入り口の方へ鋭い視線を向けていた

…おっと…夜の顔は敏腕刑事…
どんな取り調べになるのか…
落としの稲さんはどんなテクニックを披露するのかな?

恋人を紹介するのは照れくさいが、自分には勿体ないくらいだと思っている遥を大好きな稲本に胸を張って紹介したい

「稲本さん、熊野さん…こんばんは」

少し緊張しながら二人に近づいた

「おぅ!待ってたよ!
まあ兄ちゃん、ここに座れや…」

隣のスツールを叩いて稲本が遥を呼んだ

「こんばんは…失礼しますね」

稲本の半分凄んでいる視線にも動じず、遥は爽やかな笑顔で近づいた