紅梅サドン

「次郎君て大人ね、ありがとうーー。」

涙ぐんだ雪子はそう言って、次郎の小さな肩にそっと触れた。

『ありがとう』ってどういう意味だ。

やる気満々なのは雪子の方じゃないか。大体、雪子だって住所不定の居候じゃないか。

それに大人の事情をたっぷりと飲み込んでいる子供ってのは、あまり気持ちよいものでは無い。

「秋さん、少しの間ならルノーさんを預かって差し上げませんか?

ここと次郎君がお住まいになってる里親の方々のお家も、同じ世田谷区内ですから近いですし。

私は全く構いませんケド。食事だって二人分も三人分も作るのにはあまり変わりません。」