紅梅サドン

僕はルノーの赤い寝袋と大きなスポーツバックを思い出していた。

女の家を転々としている、顔が特別に優秀なホームレスだとばかり思っていた。

確かにルノーはおととい部屋を出ていく時に『なかなか世の中、上手くいかないね』と雪子につぶやいていたらしい。

雪子の言葉がもし真実なのだとしたら、ルノーは今も次郎との住居を探しているのだろう。

いや“兄弟の目的のため”自分を汚しても、女をたぶらかして甘い言葉をかけているのかもしれない。