紅梅サドン

雪子は母親の姿でなだめる次郎の手を、その青白い手できつく握り返した。

「秋さん、私、考えたんです。

ルノーさんはお顔がとんでもなく美少年です。

あんなに彫刻の様に整っていて美しく、涼しげな方は見たことがありません。

美も神様が下さった素晴らしい才能です。

次郎君がロンドンへと旅立つ日まで、刻一刻と時間が過ぎていく。

どうにもいかなくなったルノーさんは。

『ルノーさんと次郎さんを“無条件”で住まわせて下さる、“女性”』

を探しておられたんではないでしょうか。

ルノーさんの美貌を使って女性を騙して、たとえ自分が悪者になったとしても。

次郎君と住む場所がどうしても欲しかったとしたらーー。」