紅梅サドン

「無論、僕等の遠縁が都内にいるというのは兄の嘘です。

御世話になった施設の方々に心配をかけない様にーー、或いは手数をかけたくないという、兄なりの考えだと思うんです。

兄は必死で僕等の住居を探していたみたいですが。

兄はまだ19で未成年ですし、定職にも就いておりませんで。

しかも二か月の短期間という事もあり、不動産屋がいぶかしがって、電話で聞く限り苦労していたみたいです。」

次郎は泣き崩れる雪子の背中を母親の手つきでそっと撫でている。

綺麗な月が見える窓の下で身を寄せる二人の姿は、悲しいくらい役割が逆なのは置いておいたとしても、まるで本当の母子に見えた。