紅梅サドン

僕の心は単純な癖に弱い。昔からそうだ。

何かにすぐ動揺して怒ったりするくせに、次の瞬間で反省したりする。

自分の行動が正解なのか不正解なのか、自分ではまるで判断ができない。

自分の気持ちが自分で自信が持てなくなる。

これじゃあ小学生のガキと変わらない。

「いや、僕こそ、写真くらいで怒鳴ったりしてごめん。

あいつ、ルノーって奴にも。

本当に大人気なかったです。」

情けない。
僕はそんな『立派に大人気ない』『立派な大人』なんだ。


春月はもう見えなくなっていた。

雪子の背中越しに窓から頼りない風が入り込む。

風に揺れる紺色のカーテンが、まるで生命を宿している様に複雑な動きをして何度も雪子の肩に触れた。

そんな光景を見ながら、僕から離れて行った真澄の最後の言葉をふと思い出していた。