紅梅サドン

打ち上げが十時に終わり、二次会に行こうと引き止める矢萩を何とか理由を付け振り切った。


小田急線に飛び乗る。約二十分。

駅に着くと普段歩いて二十分かかる距離を、全速力で走り半分に減らす。

十時半過ぎ。僕は自分の見慣れたアパートのドアノブに手を握る。

汗が尋常では無く流れる。

体中から、そして心臓にもビタビタと汗をかいている気がする。

鼓動が止まらない。電気が付いている。

僕は意を決してドアノブをひねった。