紅梅サドン

雪子は背中を向けたまま、黙って味噌汁をかき混ぜている。

当たり前だ。
許してくれる訳など無い。


雪子は苦労の末、やっと離婚話にケリを付けて戻って来た。

その雪子に向かって『ラガーマン旦那と最後にセックスしてて遅くなったんだろーー』とか僕は言ったんだ。


いっそこのまま息の根を止めて欲しい。

長い溜め息を吐きながら、僕は本気でそう考えていた。



「昨日?ーー忘れました。

私最近、忘れっぽいんですよ。

味噌汁出来ました。

さあ時間、時間!!お仕事に遅れますケド!!。」

ピンクエプロンを桜の花びらみたいにヒラヒラさせて振り向くと、雪子はそう笑って答えた。