紅梅サドン

「うん。別に気にしてねえよ。」

そう答えた僕の隣で矢萩が再びグラスに焼酎を入れた。

氷がカチンと鳴り、水滴で汗をかいたグラスを、矢萩は指でゆっくりと拭う。

「秋ーーお前、雪子さんから何も聞いてねえんだろ?

真澄ちゃんの現在の事。」

「ーー聞いてない。

雪子さんが真澄の事をお前に聞いてたのだって、今知ったくらいだからな。」

「いずれお前も受け入れなきゃいけないからな。

今の彼女である、雪子さんのためにもさーー。

こないだ電話で、俺の前彼女の友達から聞いたんだけどな。

真澄ちゃんは来年、あるイギリス人と共同でだが、店を任されるらしい。

小さな店らしいけどな。」