紅梅サドン

ルノーが初めてそのハガキを僕に見せた時は、第二弾セールのお知らせだった。

第二弾が開催されたという事は、当たり前だが“第一弾”が存在した訳だ。


初回に当たる“第一弾セール”のハガキは、僕もルノーも見ていない。


そういう事だったのかーー。

その時、社内の打ち合わせを終えた矢萩の姿が見えた。

僕は矢萩を誘って、近くの居酒屋へ向かった。

居酒屋の中は、平日の夜九時半を過ぎたせいか、客は僕達以外に何人かが座敷にいるだけだ。

カウンターに並んで座り、立ち上るビールの泡を二人で見つめる。

矢萩とは入社した当時から、いつもこうして二人で飲んでいた。

グラスの端を合わせて軽く乾杯すると、濁った泡が次々と小刻みに波を立てた。