紅梅サドン

雪子の白い腕に抱かれて泣き叫ぶ大きなラガーマンは、駄々をこねた幼い子供の様だった。

僕は玄関先で、そんな二人の姿を見つめていた。

「必ず戻ります。

秋さんやルノーさん次郎君のいる、この部屋にーー。」

雪子はそう言い残すと、玄関を出て行った。


「ーールノー、一緒に雪子さん達を東京駅まで送ってやってくれるかーー?。」

ルノーは静かに頷いて玄関を出て行く。

「田辺君ーー。

雪ちゃんが心配だから、僕も東京駅まで行っていい?。」

次郎の心配そうな瞳が、そう言って小さなまばたきを繰り返していた。