紅梅サドン

僕等は誰一人口を開かず、まんじりともしない。

冷房を最強にしているのに、その機械音だけが耳を突く。

緊張で、ねっとりとした汗に悩まされる僕の体が、そろそろ悲鳴を上げている。

雪子に刺されたという太ももはーー。

見たくない。

ジーンズを履いていて傷も分からない。

確かに太ももも、溢れる筋肉がビッシリと付いているのが分かる。


「ーー田辺さん、でしたね?

僕は中江と申しますーー。」

ラガーマンが低い低い重低音の声を出した。

呼吸が苦しくなる程、場の空気に緊張が張り詰める。