紅梅サドン

朝の光は容赦なくて、昔から嫌いだ。

朝の弱い僕をさげすむ高飛車な光が僕を照らしている。

突然開かれたカーテンに、僕は目を恐ろしく細めて睨んだ。

「おはようございます、秋さん。」

雪子はどぎついピンク色のエプロンを身につけ、僕の前に座っていた。

「7時30分です。朝ご飯を食べないと、脳は働きません。食べないとダメです。

それにお仕事に遅れますよ。

そろそろ顔を洗って下さいね。

もう全て支度は出来てるんですケド。」

朝一番から何という流暢な長台詞だろうか。

朝、母親が言う言葉をもれなく詰め込んだ様な台詞だ。

僕はつい先日見たアダルトビデオの女優が、雪子が身につけているこんなピンク色のエプロンを、裸にしていた事をぼんやりと思い出しながら聞いた。

「雪子さんは間違いなくB型だね?。」

「いえ、A型ですケド。」