紅梅サドン

社に着くと、矢萩が朝から楽しそうだ。

何やら恭子さんとデートの約束を、苦労した挙げ句、やっとの事で取り付けたらしい。

「明日デートなんだよ、秋君。ドライブするの、恭子さんと僕ね。

明日から休みだし、秋君も雪子さんと仲良くね!。」

「『秋君』て止めろよ。朝からテンション高いな、矢萩。」

そう言った僕の紺色のネクタイは寂しげに揺れた。