紅梅サドン

「ああ、ちょっとなーー。

次郎、明日はお前も一緒に福島連れてくけどさあ。

雪子さんの用事が済むまで、どっかでハンバーガーでも食べて待っててくれよ。

な、いいよな?。」

僕は木目調のタンスから、無意識に紺色のネクタイを手に取していた。

その紺色は、一歩間違えば『黒』になろうかという深い紺色をしている。

どんよりとした今の僕の心情を表しているんだろう。

「田辺君ーーー。その色、なんかダサくね?

その色さあ、学校で女子達が着てる“スクール水着”に似てるし。」

次郎はそう言いながらフンと鼻で笑い、西瓜の種をプププとリズミカルに吐き出した。