紅梅サドン

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ーー並んでいる。

幸いに布団はもう一組押し入れにあった。

初対面の女と、襖越しに並んで寝ている。

2Kのマンション。
隣の六畳間に雪女が眠る。

僕は襖越しに並ぶ六畳の居間に布団を引いた。

もう雪子は寝息を立てている様だ。
何とも図太い女だ。間違いなくB型だ。

やっぱりこの女おかしい。男が怖くないのか?何の抵抗も無く部屋に入って来た。

今、もし僕が雪子の布団に忍び込んだとしても、きっと何も言わないのだろう。

それはラッキーとかでは無く、むしろ本当は怪談だ。

絶対におかしい。


明日には追い出そう。必ず。

そんなつもりで結婚相談所に行った訳じゃない。

僕はただ――。

布団に寝転んだ僕の目線の先に、窓から春の月が見えた。

穏やかに光をまとってただ僕を見下ろす。

リズムのある風が窓を何度か揺らした。