紅梅サドン

「まあまあ秋ジイ。大人が嫌いってだけで、次郎も根はイイ子だからさあ。

口は相当悪いけど。

ここは一つ“大人の余裕”ってやつで対処してやってねっ」

そう言ってニコッと微笑むルノーは、まるでキャバクラのお姉ちゃんの様だ。

「ルノー、お前キモイんだよ。」

はしゃぎながら雪子と台所に立つ次郎は急にこちらを振り返り、雪子に気付かれない様ーー僕に中指を立てた。

この次郎にどこまで大人でいられるか。

この失礼極まりない次郎に、大人の余裕なんてものは持てそうにない。

というより、もともと“大人の余裕”なんて素敵なキャパシティは、僕の中には寸分も持ち合わせていない。

大人であるという仮面を一皮脱げば、僕は子供に負けないくらい、心に余裕も無ければ、忍耐力も無い。おまけに僕はワガママだ。

子供の方が僕なんかよりも、ずっとはるかに大人なんではないだろうかと思う時さえある。


僕は中指を立てた小さな悪魔をジロリと睨みつけた。