紅梅サドン

僕は次郎の正面に回り込んで姿勢を向き直した。

「ああ、急に覗き込んだりして悪かったよ、ごめん。でもさ次郎君、もう少し言い方がーー。」

そう言った僕に、次郎は恐ろしい閻魔の様な表情をして言い放った。


「おい田辺、親に死なれた僕達に同情してんだろ?調子乗るんじゃねえよーー。

雪ちゃんがいなけりゃ、こんなクソ狭い部屋わざわざ選んだりしねーし。

兄ちゃんが引っ掛けた四人目の女の部屋の方が、ここより何倍も広かったし。

まあ、田辺の安月給じゃこんなもんか」

先程までの8歳の無垢な少年はそこにはいなかった。

コイツは悪魔だ。
シスターが言っていた棘どころか、凶器の様な奴だ。

僕はそう確信したと同時に、沸々と感情が怒り狂ってゆくのが自分でも分かる。