紅梅サドン

兄弟に決して同情した訳では無かった。

人を騙すのは決して良くない。しかしーー、何故だろう。

僕はこのとんでもなく用意周到な『嘘』を作り出した兄弟を追い出す事は出来なかった。

良くない事だとは心底理解している。僕や雪子を騙した事も許せない。

しかし小さな“味方”になってやってもいい、という気持ちはーー。

僕のどこからやってくる感情なのだろう。

この同じ気持ちは、雪子に対しても同じかも知れない。

未だに得体の知れない雪子を、結局この家に住まわせてしまっている。