紅梅サドン

雪子の時といい、
あの詐欺兄弟といいーー。

僕は自宅に帰るだけなのに、何故その度に“全速力”で帰らなくてはならないんだ?

もう明日から七月。

汗が体を這う様に流れ出て、駅から家まで全速力で走る僕の全身に絡みつく。その汗が落ちて肌を伝う。


「おい、出てこい!!ーール、ルノーいるか!?。」

「ん、秋ジイ?今日早いじゃん。まだ六時半過ぎだよ。

雪子は近所に買い物~。」

ルノーは風呂に入ったのか、上半身裸で手には冷えているであろうビールを持っていた。

「菊池院長、聖マリア園、電話来たぞ、今日。」

「ああ来た?菊池院長って感じ良い人だったでしょ?。」