紅梅サドン

僕は少々緊張していて、電話が終わると溜め息をついた。

僕がルノーや次郎と全く繋がりのない他人だとは、なんとかバレずに済んだだろう。

とりあえずひと安心だーー。


この目一杯の安堵感溢れる溜め息のーーすぐ後。

緊張が解かれた僕は先程の院長との会話をゆっくりと思い出した。




おかしい。
何かが決定的に違うーー。

僕が院長に聞かれるままに、ただハイハイと返事を繰り返していただけだからだろうか。

院長は気づいていない様だ。

しかし院長と僕の会話は、実は微妙に噛み合っていない。

いや院長も僕も明らかに何かを『取り違えて』いるーー。