紅梅サドン

「や、矢萩さんーーですーー。」

僕の言葉を聞いた矢萩は足音を響かせて満足そうに喫煙ルームから出て行く。

「七月に入ったら彼女の予定を聞いてセッティングしろ。

彼女の友達もついでにフューチャリングしろ。

わかったな、秋。」

独裁者の様な矢萩の背中を見送りながら、僕は短くなった煙草を揉み消した。

面倒だな。一から説明しないといけないだろうか。

しかし雪子は彼女では無い。もし雪子にその話をすればーーー。

イベントには特別に張り切るタイプなのは聞かなくても分かる。

揉み消した煙草から未だしつこく消えずにいる微かな煙が上がっていた。