自分が持っているすべの幸福を捧げてもいい・・・ラファエル、幸せになれよ。


お前は名の通り、天使のように人々に幸福を与えまわっていたんだ。

どうか、その優しい笑顔と翼が朽ちる前に・・・

幸せになれよ・・・?



「私はその夜、そう願い続けていた・・・。」


日が落ちる夕暮れ。

見えない月と星は、あの時と同じように今もそこにあるだろうか・・・。

いつか願った私の想いを、まだ抱いてくれているだろうか・・・。


悟はそう思いながら、窓の外を静かに眺めた。

彼の隣にはラファエルとアイリスによく似た美しい少女。


アリスは、同じようにオレンジの光を見つめた・・・。


父と同じ、白く美しい手を震わせ、涙を流した。


遥か遠くに行ってしまった、父と母。

彼らを一番慕っていたのは、おじ様だったのかもしれない。


今は亡き、彼らを思いながら彼らを語る・・・。

そして自分までもが、死を迎えようとしている。


いったい、どんな気持ちで・・・


アリスは嗚咽を堪えながら、悟の横顔を見つめた。


そして彼は夕日を見つめながら、優しく微笑む・・・


いつまでも変わらない、父や母に見せていた笑顔と同じ笑顔で。


「綺麗だね・・・。」


「・・・はい・・・。」


オレンジ色は静かに、無情に二人を包んで沈んでゆく。


「君はもっと綺麗だよ、アリス・・・」


・・・おじ様の微笑みが胸に焼きつく・・・

私と、父と母を見つめた瞳とともに・・・。

私の涙はしばらく止まらなかった。

私の涙の永遠を、おじ様は知っていた。