同時にかからなかった夏奈子から着信が入る。 オレは許可もとらずに和哉の携帯に出た。 「もしもし? ごめんー何だった?」 うるさいくらいざわついている声と明るい夏奈子の声が憎らしい。 どこにいるんだよ……。 「陽菜のことだけど……」 「えっ? 航‐わたる‐?」 「アメリカに発つって、本当かよ?」 「……あ、まぁ……」 電話口で夏奈子が言葉を濁す。