放課後になったけど、結局高橋くんが来ることはなかった。
溜め息をつきながら鞄に荷物を詰め込んでいると、あたしの前に誰かが影を落とした。
顔を上げると、そこにはー
「高橋くん・・・」
「一緒に帰ろ」
表の顔で、にっこりあたしに微笑む。
みんなの視線が痛い。
あたしは凛と付き合ってるってことになってるから、驚くのも当然だろう。
「わっ!?」
どう答えるか悩んでいたら、突然後ろから引っ張られて立たされた。
「ほら、早く立てよ。みんなで帰るぞ」
そう凛が言うと、痛かった視線はなくなった。
凛のお陰で二股女にはされなくなったから助かったけど、これってはっきり言ってあたし2人からとばっちり受けてない?
そう言いたくなるのを抑えて、鞄を持って5人で教室を出た。

