「凛、とっさにしたことは逆に演技じゃないかもしれないよ。あたしたちの場合、確かに困った時やその時の状況に合わせて無意識に演じてしまうこともある。でも、とっさに出るのは演技だけじゃない。自分の素、だとゆうこともあるんじゃない?長年演じちゃうことが多くて本来の自分が分からないかもしれないけど、一緒にゆっくり自分を探していこう?」
凛は軽く頷いた。
なんかかわいい…。
「今、探していこうとか言ったけど、手っ取り早い方法思いついた!無意識には、無意識が一番だと思う。演技に入る時、少しは嫌だとか、嬉しいとか、先に本来の自分が感じられると思う。今思ったんだけどね。あたしも演技に入りそうな少し前の感情を、本来の自分の感情だと思うことにするよ!」
「・・・なんで今までそれが思いつかなかったんだ」
ガクッと肩を落とした。
そこまで落ち込まなくても。
でもホント、何でこんな誰でも思いつきそうなこと考えつかなかったんだあたしも!
「今までは全て素とは思えなかったけど、とっさに思うことに対して演技はできないはずだもんな」
あたしはこく、こくと何回も首を縦に振った。
大丈夫、きっとこれなら、自分の素が出るはずだから。
あたしは、みんなを守りたいし困ってたら救いたい。
もう周りの人を、誰も悲しい思いをさせたくない。
あたしはあの日、誓ったんだから。
自分の胸の前で右手を強くぎゅ、っと握った。

