《短》狼の中の狼



「真希。」

「……なぁに?」


張りつめた空気の中、私は悠太の部屋に居た。

入るのは久し振りで、なんだかすごく緊張した。


「ごめん…。助けるのが遅くなって…。」

「えぇっ!?そんなことないよ!?」

「いやでも…。」


申し訳無さそうに俯く悠太を見ると、道路で傷だらけになって横たわった男の人が脳裏に蘇って、恐怖と嬉しさが同時に押し寄せてきた。