賑やかな声は段々と近くなってくる。

辺りは少し薄暗いがその場所だけは、
明るく輝いていた。


「・・・お祭り・・・?」

あたしは小さく呟いた。


「みたい・・・だな・・・」
「行くか?」

「うん、行ってみた!」


好奇心旺盛に答える。


そこは人で賑わっていて前に進むのが
やっとと言ったくらいだ。

「逸れんなよ!?」

「分かってるわよっ」

とは言うものの、あたしは
今にも逸れそうな状態。


途中で林檎飴を売っているお店を発見した。


「食う?」

「え、お金持って来てるの!?」

「おう、ちょっとくらいなら」


あたしは怜桜の言葉に甘え、
林檎飴を一つ買った。

その林檎飴は、ライトの光で赤く輝いて、
飴の甘味と林檎の酸味が交じり合っていた。


「うまいか?」

「うん、ありがと!」


そう言うと、怜桜は少し照れた様な
表情を見せた。


「照れてんのー?」

「照れてねーっ」

「照れてるじゃん」


あたし達はそんな他愛の無い会話を続けた。