「先輩」

「ん・・・?」

「今日はありがとうございました」

「うん・・・」


先輩は少し切なそうな顔をしていた。



「怜桜、帰ろ・・・?」

「・・・うん」


あたしは怜桜の手をそっと握った。

すると怜桜もあたしの手を握り返してきた。


「元橋君・・・!」


後ろで先輩が怜桜を呼び止める。

「・・・?はい」

「この手紙、もらってくれる?」

「え、でも・・・」

「いいんだ」
「美和を大切にしてくれてありがとう」

「───・・・ッはい・・・ッ」


怜桜は目に涙をいっぱい溜めて頷いていた。